歯のイラスト値段と相場歯のイラスト

隔年で全国の歯科医院を対象に「インプラント費用の徹底調査」を行なっている日本インプラントセンターの発表によると、2011年度のインプラント治療平均価格は32万5000円だったようです。

人1人の患者さんによって治療内容も難易度も異なるため、この治療平均価格をそのまま費用相場だとは断言できませんが、大体良心的な医院でのインプラント治療の相場は検査・診断費なども含めて1本あたり「30万~45万」程度だと言われています。

さて、この「インプラント費用の徹底調査」において興味深いのが、『全国362院を調査した結果、1本あたりの価格差が最大で38万円も出た』という点です。

これは患者さんの歯の状態と治療の内容、装着する人工歯の種類、手術の難しさなどによって変動があることが大きな要素として含まれますが、もう1つ言えるのが、インプラントの費用が保険診療のような国が定めた金額ではなく、各歯科クリニックごとで自由に定められた価格となっていることです。
ですから、「安いから粗末な器具を使っている」「高いから良い器具を使っている」とは一概には言えません。
インプラントの価格は各医院や医師ごとに、自分たちの技術や設備、器具、症例数などの実績を鑑みて、自信を持って定めている料金なんです。
とはいえ、「格安だから」という理由で病院を選ぶのは大変危険。このあとでも説明しますが、歯科技術の中でも難しい治療であるインプラント治療において「格安」で技術を提供するには、やはりそれなりに理由があるのです。
適正な価格で納得のいく治療を受けるためには、大変でも、患者さん一人ひとりがしっかりと医師や医院を見定め、安心して治療を受けられる病院を地道に探すことが不可欠です。

格安インプランドは危ない!
最近はインプラントを行うクリニックが増加していますが、その一方で「1本9万円!」などと、インプラントの値段の安さを売り文句にしたクリニックが散見されるようになりました。
もともと高額なインプラント治療ですから、「こんなに安くできるなら…」と手術を受ける人は少なくありません。

値段の安さは確かに大きな魅力です。
けれど、格安インプラントには落とし穴があるのも事実。
というのも、治療時にはそれなりに美しく仕上がり「なんだ、安くても大丈夫じゃない」と思うかもしれませんが、5年もたつとインプラントが脱落するなど、不具合が出てくるケースが非常に多いのです。
結果として再度手術を受けることになり、最終的に高くついた…なんてことも実際に多く起きています。

歯は一生のおつきあい。
気持ちよく食べ物を噛める喜びは、何物にも代えられません。
体の一部、そして人生の一部となる歯ですから、「安かろう悪かろう」では取り返しがつきません。
後になってつらい思いをしないように、信頼できるクリニックをじっくり探して選ぶことが大切だと言えます。

インプラントは保険適用される?
これまで「インプラントには健康保険は適用されない」が通例でしたが、平成24年4月から、病気や事故などで顎の骨を広い範囲で失ってしまった場合に、インプラント治療が保険適用されることとなりました。
適用される範囲は、上顎の場合は顎の骨の1/3以上が連続して欠損している、もしくは上顎洞、または鼻腔へと繋がっていると診断されていること。
下顎の場合は顎の骨の1/3以上が連続して欠損している、もしくは腫瘍などの病気によって下顎を切除したと診断されていることとなります。
また保険適用されるには、国が定めた以下の条件を満たさなくてはいけません。

・腫瘍や顎骨骨髄炎などの病気や、事故の外傷などによって、広い範囲で顎の骨を失ってしまった状態であること。
またはこれらが骨移植によって顎の骨が再建された状態であること。
・医科の保険医療機関の主治医によって、先天性疾患(うまれつきの病気)と診断され、顎の骨の1/3以上が連続して欠損している状態であること。
・顎の骨の形成不全であること。
なお、歯周病や加齢によって顎の骨がやせ細った場合などには適用されません。
また、保険適用の中には初診料や材料費、入院費などは含まれていません。
また、治療を受けられる病院の条件も、下記のように細かく定められており、一定基準を満たした施設のみで、健康保険診療として適応できるようになっています。
・歯科又は歯科口腔外科を標榜している保険医療機関であること。
・当該診療科に係る5年以上の経験および当該療養の3年以上の経験を有する常勤の歯科医師が2名以上配置されていること。
・ベッド数20床以上の入院施設を持つ「病院」であること。
・当直体制が整備されていること。
・医療機器保守管理及び医薬品に係る安全確保のための体制が整備されていること。

そのため現状、どの歯科医院へ行っても保険治療が受けられるわけではありません。
保険治療を検討される場合は、かかりつけの歯科にまずは相談してみましょう。