歯のイラストインプラントの種類歯のイラスト

現在、世界中で実に100種類ほどのインプラントシステムが製造されております。
インプラントの構造は、歯根部分となる人工歯根(インプラント、フィクスチャーとも言います)と、上からかぶせる人工歯、人工歯と人工歯根を連結する「アバットメント」という3つのパーツで成り立っています。このうち最も重要となるのがインプラント部分で、主に4種類のタイプがあります。

■スクリュータイプ
ネジのような形をしているインプラントの種類です。
骨に埋め込む穴が小さく、噛む力を効率よく骨に伝えることができることから、現在最も多く使用されているタイプです。
先が細くなっている「ルートタイプ」、と太さが変わらない「ストレートタイプ」があります。

■シリンダータイプ
スクリュータイプと並んで主流として採用されているインプラントの種類です。
ネジのらせんがない円筒形で、凹凸がないため容易に埋め込むことができます。
ただし表面積が小さくなるため、初期固定が弱いという特徴があります。
2回法の治療に適したタイプです。

■バスケットタイプ
ネジのようならせんがあり、スクリュータイプに似ているのですが、穴が数箇所開いていて、中が空洞になっているのが特徴です。
穴があることで骨が中まで入り込み、骨とより強く結合させることができますが、空洞のためインプラント自身の強度が弱く、破損のトラブルも。近年はあまり使われなくなっています。

■ブレードタイプ
T字の板状になっているインプラントの種類です。
幅が狭く薄いため、骨幅が狭い部分に使えるメリットがあります。
ただし、力のかかり方に偏りがあり、破損などが起きやすいという欠点があるため、現在はほとんど使用されていません。

また、インプラントとアバットメントが最初から一体化している「ワンピース型」と、別々になった「ツーピース型」があり、ワンピース型は1回法の治療に採用されています。
どのインプラントの種類を使用するかは、一人ひとりのお口の環境次第に合わせて専門医が選定を行います。

インプラント治療で使用されるパーツ

インプラント治療は失った歯の機能や見た目を取り戻す治療法で、複数のパーツを使って治療を行います。ここでは、主に使われるパーツについて、インプラント治療で使用する順に、簡単にご紹介いたします。

インプラント体
外科手術にて顎の骨(歯槽骨)に埋め込まれるもので、フィクスチャーや人工歯根とも呼ばれます。
適切な処置と環境下で埋めることで、顎の骨と結合させることができ、歯の根っこに相当する役割を果たします。
使用されている主な素材は、医療用グレード(医療用として認可された)のチタンです。
また、インプラントの表面にはブラスト処理、酸処理、酸化処理、機械研磨処理などの加工がされており、製造会社によって特徴が異なります。
※国内で受けるインプラント治療は、多くの場合に厚生労働省で認可されたものが使用されています。
しかし、患者様の同意があれば、歯科医師の責任の下でインプラント製品の個人輸入及び使用が認められているため、外国の製品を使うこともあります。
国内の製品と素材や規格が同じとは限りませんので、気になる方は確認しておくとよいでしょう。

ヒーリングアバットメント
埋め込んだインプラント体上部に、一時的に接続されるもので、時期が来たら外してアバットメントと交換します。
ただし、お口の状態によっては、直接アバットメントを接続し、ヒーリングアバットメントを使用しないこともあります。
使用の例としては、インプラント手術の一回法の場合や、単独歯の(歯を一本だけ失った)場合、カスタムアバットメント(お口の状態に合わせて技工所で作製するアバットメント)を装着する場合などに用いられます。
使用されている主な素材は、医療用グレードのチタンです。

カバースクリュー(2回法の場合に使用)
インプラント治療の2回法手術の際に用いるパーツで、顎の骨にインプラント体を埋め入れた後に、インプラント体上部に装着するネジのことをいいます。
ネジで蓋をすることによって、顎の骨とインプラントが定着する期間に、インプラント体の中に歯茎や骨などが入り込むことを防ぎます。
なお、カバースクリューは一時的に装着するもので、アバットメントや人工の歯を接続する直前に外して処分されます。

アバットメント
インプラント体と失った歯の代わりとなる人工歯を連結するためのもので、専用のネジでインプラント体上部に接続させます。
埋め入れたインプラント体の位置や歯茎の厚みに合ったものを装着しますが、既製品のアバットメントを用いる場合と、個人に合わせて作製したカスタムアバットメントを用いる場合があります。
使用されている主な素材は、チタン合金やジルコニアなどです。
専用ネジの素材はチタン合金であることが多いようです。

ヒーリングキャップ
アバットメントを装着したが仮歯や人工の歯を接続するまで期間がある場合、アバットメントに汚れが入り込んだり、傷ついたりすることを防ぐ一時的な蓋のことで、アバットメント上部に接続します。
使用されている主な素材は、プラスチックや医療用グレードのチタンなどです。

プロビジョナルレストレーション
インプラント手術後から使用される仮歯のことで、専用のネジや緩い(外しやすい)セメントなどでアバットメント上部に装着します。
最終的な上部構造ができるまで一時的に装着されるものですが、お口の状態によっては使用しないこともあります。
プロビジョナルレストレーションは、見た目を保つだけのものではなく、噛み合わせのリハビリや、周りの歯や歯茎、粘膜との関係などを調整し、患者様の要望に合わせて最終的な人工歯作製の参考となります。
使用されている主な素材は、レジン(プラスチック)です。
専用ネジの素材はチタン合金や金合金であることが多いようです。

最終的な人工歯
アバットメントの上に接続されるもので、上部構造とも呼ばれます。
専用のネジやセメントなどでアバットメント上部に装着し、歯冠(歯茎から上部分の歯)に相当する役割を果たします。
使用されている主な素材は、セラミック類(ジルコニアセラミック、オールセラミック、ハイブリッドセラミック)、金属類(メタルボンド・ゴールドクラウン、パラジウムクラウンなど)などがあります。また、取り外しできる入れ歯を装着することもあります。
専用ネジの素材はチタン合金や金合金であることが多いようです。