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インプラント矯正とは?
インプラントは、失ってしまった歯のかわりに人工の歯を埋め込む治療のことを指します。
一方、「インプラント矯正」はインプラントの技術を活かした矯正方法のことです。
「インプラントとインプラント矯正って同じもの?」と混乱してしまう人もいるかもしれませんが、実は似て非なるもので同じではありません。

インプラントとは、アゴの骨に人工歯根を埋め込むことで人工歯をしっかり固定させ、自分の歯と全く同じようにかむことができるシステムです。
この「骨に人工物を固定する」というインプラントならではの技術を応用したのが、インプラント矯正。
矯正専用に開発されたインプラントをアゴの骨に埋め込み、インプラントを支点に動かしたい歯をひっぱることで、より短期間に効率よく歯の矯正を行うことができます。
これまで歯の矯正を行うには、ワイヤーで歯同士をひっぱり合う方法が一般的でしたが、この方法だと2~3年と矯正期間が非常に長く、見た目にも目立ってしまったり、矯正するために健康な歯を抜くなどの問題が数多くありました。
それがインプラント矯正だと約半年という圧倒的に短い期間で矯正が可能になるのです。

インプラント矯正のメリット・デメリット
インプラント矯正のメリットは、なんといっても「短期間で効率よく歯の矯正ができる」ということでしょう。
2年以上かかる歯の矯正が、インプラント矯正だとわずか半年程度と大幅短縮。
これまで考えられない短期間での矯正が可能になります。また、がっちりと骨に固定されたインプラントを支点として、矯正が必要な歯を効率よくひっぱることができるため、矯正のために健康な歯を抜くといった問題も解消されます。
「ガミースマイル」と呼ばれる、笑うと歯茎が必要以上に見えてしまう状態を改善するためにも、インプラント矯正は有効です。
これまでガミースマイルは外科手術をほどこさなければ治らなかったところが、インプラント矯正によって歯列全体を引き上げることができるようになり、切開手術なしに短期間で治療できるようになります。
ただし、インプラント矯正をするにはインプラントを埋め込む手術を受けることが不可欠となります。
埋め込む深さは2~3ミリと非常に浅く、矯正が終われば取り出されて跡が残ることもありません。
非常に安全と言われていますが、埋入した後に周囲の清潔を保っていないと虫歯や歯周病になりやすくなる傾向が強くなります。
また、インプラント矯正はまだ新しい治療方法のため、取り扱っている歯科医院は多くありません。
骨がしっかり成長した16歳以上と年齢制限もあり、誰でもできるわけではないので、まずは気になるクリニックで扱っているか確認することが大切です。

矯正用インプラントの種類
インプラント矯正では、矯正用に開発された特別なインプラントを使用します(通常のインプラント治療とは異なります)。
用途に応じていくつかの種類がありますので、ここでご紹介しましょう。

■SMAP(スマップ)
歯列全体を動かすような、強い力が必要な場合に使われるプレートタイプのインプラントです。片側にあるネジの穴をアゴの骨面にネジ止めして固定します。

■K-1システム
主に前歯の矯正に使われるネジ式のインプラントです。SMAPに比べて矯正距離が小さいときや、ガミースマイルの改善にも有効です。

■MIA(マイクロインプラント)
K-1システムと同様、比較的移動距離が短い矯正に使われます。
直径1.5ミリほどの小さなネジ式インプラントを埋め込む方法で、小型のため短時間の手術で埋入することができます。

通常のインプラントは人工歯根をアゴの骨に深く埋め込むことで、天然の歯と同じように使いますが、矯正用のインプラントは矯正期間だけ取り付ける期間限定器具で、ごく浅い場所に取り付けます。
手術時間も短く、料金も通常のインプラントより手頃です。